イタリア料理の基本


下記の記載内容は
イタリア料理教室 LA BOCCA cucinamica の講師でありイタリア料理のコックでもある講師によるものです。
日本でイタリアンと言われる料理とイタリアでイタリア人が食べる料理とはかなりの差があることも事実です。
例... パスタソースなどでニンニクを微塵切りにして狐色にする調理技法はイタリアにはありません。
長年イタリア料理のコックをしている立場からお伝え致します。

イタリアンについて


ピッツァとピザの違いと本来のピッツァに関して


ピザとピッツァの違い
ピザはアメリカの食べ物。 ピッツァは本場イタリアの食べ物
焼き方も食べる目的も違います
ピザには作り方の規制はありませんが、ピッツァの作り方には多く規制があります。
ピザはイタリア料理ではありません。勘違いをしないでください。 

ビザに使うモッツァレッラチーズはどの産地でも構いません。 イタリア産でなくても良いと言うことです。
ピッツァに使用する食材には規制があり、モッツァレッラチーズはイタリア産を使用する。
*** 特にナポリピッツァは、もっと狭い範囲の製造場所の指定があります。
例えばモッツァレッラチーズを1つとると、アマルフィ地区限定のモッツァレッラチーズか指定地区の物を使用する規定。
ピザ屋さんでよく使われる "とろけるチーズ"や"デンマーク産"や"ドイツ産"などのモッツアレラと表記のある安価なチーズは イタリアのピッツェリーア(ピッツァ屋)では使いません。
日本ではイタリア産の本場モッツァレッラチーズは高額ですので日本のピッツァはどうしても1枚が高い料金となってしまいます。


ピッツァの見方 ...

ナポリピッツァ (淵がある) pizza napoletana は、生地作りに、粉と水と塩と天然酵母以外使用してはいけない規定。 油分を入れてはいけない生地。生地は麺棒を一切使わず完全に手伸ばしで行う規定です。
ピッツァ発祥の地、ナポリでは100以上の作り方の規制があります。

ローマタイプ (全体に生地が薄く淵が無い)のピッツァは店ごと多少の違いがあり粉と水と塩と天然酵母だけの店と生地に油分を入れる店と両方がある。

ナポリピッツァ4タイプの見方
pizza napoletana 1...窯の温度がちょうど良い温度でも少し焼く時間が長い(10秒前後)と生地の淵に小さな突起点が多く出来すぎる。その分生地から水分が抜けてモチ餅感が少なくなってしまう。但し油分を入れてない生地。油分を入れてない分、生地を再加熱すると少し硬く噛みごたえが強い触感になる。ナポリピッツァの特有性。

pizza napoletana 2...窯の温度が420度〜440度のちょうど良い温度と焼く時間が良い(60〜70秒)と生地の淵に小さな突起点ができる。但し油分を入れてない生地。油分を多く入れると突起点ができない。油分を入れてない分、生地を再加熱すると少し硬く噛みごたえが強い触感になる。ナポリピッツァの特有性。

pizza napoletana 3...窯の温度が400度以上の場合でこのように焼ける時は、このピッツァは生地に少し油分を入れてあるか、窯の温度が低い。油分より窯の温度が低く時間を長めに焼く場合の方が多い。但し表面がパリッとする利点もあるがモチ餅感も少なくなってしまう。

pizza napoletana 4...窯の温度が400度以上の場合でこのように焼ける時は、このピッツァの生地に油分を入れてあることが多い。但し保湿の油分が生地の中にあるため再加熱に向き再加熱後でもあまるり硬くならずフワッとすると言う利点があるがモチモチ感が少なくなってしまう。


どちらが良いかは好みである。 もうひとつは焼き手の表現の仕方でもありますが、できればナポリピッツァなら適切適温で焼いた物がモッちり感が強くて美味しい。但しかなりの技術が必要となる。
もうひとつは、再加熱をした場合の食感の違いです。
ナポリタイプの生地に油分を入れてあれば、再加熱でも保湿で水分が無くなりにくくフワッと感があり柔らかくて食べやすいが、その分噛みごたえが無いのも事実。
良く噛んで食べる方はナポリピッツァで再加熱後の硬さでも噛むほどに生地から旨味がでてくるのも捨てられない。 好みである。 焼き手の表現方法と食べての好みに合わせることが大切です。

生地の中のイースト菌の量と生地の寝かせる時間と温度により食感にかなりの違いがでる。
ビザはイースト菌の量の規定がありませんがピッツァにはイースト菌の入れる量の規定がある。
(できるだけ少量のイースト菌を使用すること)




手作り生パスタと自動機械で作る生パスタの違いに関して


生パスタの見方 ...  

生パスタ

超高圧で押し出すダイス方式 (自動機械)
この方式で作る麺は、元々は乾燥パスタを効率良く大量生産するためにイタリアで開発され、ボタン1つで粉練りから製麺までを自動で行う機械です。
圧迫式で作った麺を乾燥させると生地の中に空気の量が多くヒビ割れが起こってしまいます。
この欠点を補い大量生産を行えるようにしたのが、このダイス(ブロンズ,セラミック)方式機械でナポリのグランニャーノと言う町(村)で多くの小さな製麺所ができ今の乾燥麺ブームになる。
元々乾燥麺を作るために開発した機械ですので生パスタで食べて美味しさを求める方式ではない。
利点...1人で1日に何百食何善食と麺の生産が可能となる。
この機械での利点はボタンを押すだけで大量生産が可能。 
欠点としては生地の中に空気がほとんど含まれなくなるために乾燥させれば乾燥麺の通常のしっかりとした食感になるが、生麺で食すると輪ゴムを食べているような食感でモチモチ感とはほど遠くゴム食感となる。

2つのローラーで生地を圧迫する圧迫方式
この方式でで作る麺の利点は、生地の中の空気を自由にコントロールができることで、麺の食感を自由にコントロールが可能となる。
この食感はモチモチ感を強く出したり生地を硬くしめたり、モチモチ感と生地の硬さの同時を求めたりすることがコックの技量により可能となる。

 但し欠点としては大量生産には向かず粉練りから手で行い、生地から丹念に接して生地ごとにローラーの回すスピードをコントロールして常に生地の中の空気の量と密度と並びを一定にする技術と麺を作る時に製麺までの行程で打ち粉を全く使わない技術が必要となる。ローラーの回しは完全手動とモーターで回す方法の2タイプがあります。
 (但し保存の時には打ち粉をした方が麺同士がくっつくことが無く茹でやすいが、 粉に水分を加水して練り上げてから麺にするまで、一切打ち粉を必要としない技術が麺に艶とモッチリ感を与える) とにかく手間がかかる方法ですが、その分、美味しさと粉の風味などが伝わる麺ができる。

圧迫方式の欠点...(熟練したコックさんが必要)1人で1日に作れる麺量は
せいぜい30〜40食を作れば体力の限界が訪れるはず。
これを毎日行うことは本当に大変な作業。
ですが麺に作り手の気持ちをこめて美味しくなーれと思いながら作らなければ美味しい麺にはないない欠点もある。

イタリアの美味しいレストランでは、自家製麺はこの圧迫方式で生パスタを作るのが常識。
ですがイタリアでも自家製 della casa で生パスタを作ることは大変な肉体作業ですので、自家製で提供する店がドンドン減っているのが現状です。
ですのでイタリアでも製麺所に電話注文をしてレストランで提供する店もかなり多くあります。 日本のお蕎麦屋さん や うどん屋さんでも一緒の話です。
製麺所では手間や量的に押出し方式でダイスから生地を通して大量に作ることが多い。

生パスタの購入知識 ...
 販売店にて 生パスタの製造方法で "押出" の文字があるかの確認をすること。
"押出" の表示があれば上記の食感となりますのでお好みで購入して下さい。
(上記を参照)
注意 ... 製造工程のパーツ写真は "圧迫式" を記載し,実際の製造は小さい文字で "押出" で作る。と記載してある店舗もありますので購入時はご注意ください。
いずれにしろ "押出" と  "圧迫式" では食感も風味も違います。
見方が分かりましたら、あとはお好みでお選びください。

パスタの知識  ...  
乾燥パスタについて
1... 乾燥パスタは硬質小麦と水のみで作らなければならない法律規制がある。塩もオイルも入れてはいけない。
2... 硬質小麦とはセモリナ粉と記載している店がありますがセモリナとは粉の挽き方を言い、硬質小麦の意味では無い。
3... 卵パスタの表記をするには粉に対して卵の含有量の最低基準がある。
4... ダイスはブロンズでもセラミックでも良い。食感や喉越しとソースの絡む量の違いとなる。
5... 他にも色々

生パスタについて
1... 粉の規制は無い。軟質小麦でも硬質小麦でも混ぜ合わせても構わない。
2... 卵パスタの表記をするには粉に対して卵の含有量の最低基準がある。
3... 塩やオイルの含有量は作り手のお好みで作る。
4... 粉の挽き方はセモ―ラでもセモリーナタイプでも構わない。混ぜ合わせても良い。
5... 他にも色々

生パスタの製造方式3タイプA,B,Cの見方

押出式 ↓
pastafrescaA 1... 超高圧で押し出すダイス方式の本体 =  "押出パスタ" や "押し出し式" や "ダイス" と記載して販売している店があります。

pastafresca A 2... 超高圧で押し出すダイス方式 のダイス。
この穴から麺を超高圧で生地を押し出して麺を作るタイプです。


圧迫式 ↓
pizzaB 1 ... 2つのローラーで生地を圧迫する圧迫方式の本体

pastafrescapastafresca B 2 ... 生地を圧迫する圧迫方式で麺を切るカッター。もしくは包丁でカットする。
この圧迫方式で麺を作るにはグルテンを強く作りだす必要があり、押し出し方式で作るより、はるかに行程が複雑で生地の熟成期間も長くする必要が生じる。手間と熟練が必要となる。


麺棒式 ↓
pastafresca C 1 ... 生地を圧迫するのに麺棒を使って伸ばす方式。麺は包丁でカットする。
この麺棒での圧迫方式は、水分を多くして生地を作らないと手の力だけでは伸びなくなる。この水分を多くして生地を作ることで麺の食感はかなり柔らかくなる。麺を薄く作ると茹でている最中から溶け出しやすいので、どうしても麺の厚さが厚くなってしまい麺の幅と厚さのバランスが取り難くなる。



黒コショーについて ...  

黒コショー

イタリア料理において黒コショーの選び方は、噛んだ時に最初に感じる感覚が大切です。
噛んだ時に最初に感じる感覚は "甘い" いと言うことです。
次に優しい風味が鼻に抜ける。
最後の黒コショーの辛みが感じられるような黒コショーを選ぶと本来の本場のイタリアンが食べられますよ。辛みはいやらしさの無い物を選択すること。
噛んだ時に真っ先に辛さが感じられる黒コショーはイタリア料理には向きません。
甘い黒コショーを選択することが美味しいイタリアンを作る絶対条件です。



パスタソース ...

生パスタ

ダシ汁を使用せずに食材の旨味を引き出したソースを食することに心がける。
食材の旨味は食材の切り方から始まり、食材からの汗のかかせ方から決まるテクニック。大切なことは保存料や酸化防止剤の入っていない物を食すること。
 

 
オリーブオイル ...
オリーブオイルの選び方は値段ではない。500円でも自分が美味しいと思うものが良い。イタリアではピュアオイルは通常は使用しない。常にエクストラバージーンオリーブオイルを使用。 
ですが、巷で言われている体に良いから...出来あがった料理の上にオリーブオイルをかけたり、料理にたっぷりと使用する方がおりますが、注意。注意。 カロリーのことを言う方が少ないですが 1cc = 9キロカロリー ありますよ。
大スプーン1杯で約140キロカロリーありますので。バターよりカロリーがありますよ。 またイタリアでは調理が仕上がった物の上にオイルをかけて食べる習慣はほとんどありません。特定の料理のみですので注意。
イタリアでは日本のようにオリーブオイルは高額ではありませんので値段を気にせず自分に合うオイルを探してください。 
例えば野生肉を食べる場合は刺激のあるオイルが合うし、魚や野菜でしたら完熟してからオイルを作る刺激の少ないオイルが良いと思う。 特に魚料理には水っぽいオイルが合い。トスカーナ産に多くある刺激のある辛いオイルはあまり合わなくなる。
自宅で作る料理によりオイルを選択することが大切です。
ワインと同じで販売価格では無く、自分の好みと料理に合わせて使用することが大切。



パン ...

生パスタ

  なれべくイースト菌の量を抑えたパン生地を食べるようにする。 酵母菌と言うと聞こえが良いが菌である。特に食べ終わってから胃袋が膨らむ満腹感になるパンはなれべく避ける。作るのにかなり手間暇がかりますが低温長期熟成方式のパンやピッツァがお薦め。
ちなみにフォカッチャとはパンのジャンルでは無く、ピッツァのカテゴリーに属する



パルミジャーノチーズ ...
グリーンの筒に入っているパルメザンは常温でも数年持つ。これは不思議。何か入っていると思うこと。酸化防止剤か防腐剤かもね。通常のチーズを常温で1週間置くと変てこブルーチーズになるはず。乳アレルギーになるかもね。良く喫茶店にテーブルの上に常備してあるチーズ。冷蔵庫にしまわずにもいつでも食せるチーズ、パルメザン。
パルミジャーノチーズとはイタリアでも産地限定チーズである。 北イタリアのパルマとレッジョの間で厳しい条件下をクリアーしたチーズのみに与えられる称号であるので、例えば北海道で作られたパルミジャーノチーズはあり得ない。
また、グラナパダーノチーズとの違いは粉にすると違いが分かるにはチーズの見方が分からないと判断が付きにくいほどの差しかない。
販売価格はパルミジャーノとグラナパダーノでは大差の差があるのでイタリア料理店でもグラナパダーノを使用する店が多数ある。



コーヒー豆 ...
イタリアには日本の喫茶店のように珈琲豆が何種類もあることは無いです。 通常1つの珈琲豆を使いカッフェを作る。エスプレッソマシンの豆フォルダーに珈琲豆を入れる技術とプレスする技術と機械にセットする圧力で珈琲の甘さを出したら酸味を出したり苦みを作ったりするバリスタの専門職となる。
選び方はやはり自分の好みの味が中心ですが、できれば高温で遠赤外線がでる石窯などで短時間に水分を無くさず焙煎したコーヒー豆が美味しいと思う。



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